先日は、全国各地でやっている同性婚訴訟のうち、札幌地裁での違憲判決が出て、Twitterのタイムラインが大いに盛り上がっていた。ぼくもめちゃくちゃ嬉しくて、職場で泣きそうになるのを我慢して仕事していた。コロナ禍じゃなかったら、仕事を放り出して、街へ繰り出してパーティでもしたかった。
(訴訟の内容や判決の意義についてはこちらの記事が分かりやすかった)
司法がちゃんと機能した
何がそんなに嬉しかったかって、突き詰めて考えるとやっぱり「司法がちゃんと機能した」ってことかなあ。例えば映画「チョコレートドーナツ」では、司法の場で同性愛者に対する差別的な言論が繰り広げられて人権が蹂躙されるというシーンがあって、見ているだけでものすごく苦しかった。
あるいは、全国で行われているフラワーデモの発端になったのは、2019年に性暴力に関する事件の無罪判決が相次いだことだった。
近年だと、一橋大学のアウティング事件についての判決も読むに堪えなかった。
こういう経験や歴史の積み重ねがあったから、正直、札幌地裁での判決にはあまり関心を持てていなかった。最高裁までいかないとダメなんだろうな、あと何年待てばいいんだろうな、と考えていた。だから、まさかの展開に驚いたし、画期的な判決に嬉しかった。原告に立ったひとたちや活動を支援してきたひとたちには感謝したい。
その一方で、懸念していること
これから原告は控訴して、最高裁までいって争って立法を促すのだろう、たぶん。また、札幌以外の地域でも判決が出てくるだろう。そして、このような司法判断に対するバックラッシュも出てくるだろう。バックラッシュにはしっかり対処していかなくてはならないと思っている。
それと同時に、開催まで残り約1ヶ月に迫った「東京レインボープライド」をはじめ、全国のレインボープライドで——というか、LGBTQコミュニティ全体で——カップリング主義が強まることを懸念している*1。同性婚訴訟がここまで盛り上がったらそうならざるを得ないのかなと思うが、「LGBTQ運動のアジェンダは同性婚だけではない」ということは何度も繰り返し書いておきたい。
例えば、SNSを中心に激化しているトランスジェンダー差別に対抗言説をはっきりと出してほしい。今年の東京レインボープライドのテーマは「声をあげる。世界を変える。Our Voices, Our Rights.」なのだから、それくらいのことはやってもいいんじゃないかと思っている。
*1:渋谷区や世田谷区で同性パートナーシップ制度ができた2015年、2016年あたりのレインボープライドはLOVEの押し売りがすごかった。アレの再来が懸念される。