実はいま、同性パートナーシップ制度が利用できる地域に居住している。そのことは、半年前に引っ越すときから知っていたし、部屋探しの決め手にならなかったとは言えない。同性パートナーシップ制度があるくらいだから多少はLGBTフレンドリーな自治体だろうし、地域に根ざした活動家や活動団体がいる/あるのも良いなと思った。
しかし、実際にその制度を利用するには至っていない。そのことについて、パートナーと話し合ってみた結果を備忘録として書き留めておきたい。
同性パートナーシップ制度を利用したい理由
同棲を始めてからずっと心配なのは、どちらかが事故に巻き込まれたり病気で倒れたりしたときに、もう一方へ連絡がいくのかどうかということだ。両親や会社には連絡がいくだろう。けれど、ぼくは両親と不仲だし、パートナーは両親にカミングアウトしていないので、両親伝いに連絡がくるとは思えない。
せめて「同居人がいるから、緊急時には連絡してほしい」と、お互いの連絡先を両親に教えるくらいはしたほうがいいのかもしれない。あるいは、緊急連絡先カードを作って財布に入れておくのもいいかもしれない。中野区に住んでいたときは、自治体が発行している「防災緊急連絡カード」を携帯していた。
また、同性パートナーシップ制度や同性婚が必要な例としてよく挙げられる話だが、仮に連絡がいったとして、二人の関係を証明できるものがないと面会さえできないかもしれない。そう考えると、万が一のときのために、同性パートナーシップ制度を利用しておいたほうがいいのかもしれないと考えたりする。
同性パートナーシップ制度の利用を躊躇う理由
そう思って、こちらから何度か「利用してみる?」と提案するのだが、パートナーはいつも「めんどくさい」といって却下する。何がめんどくさいかって、本籍地から戸籍謄本を取り寄せるのがめんどくさい。これにはぼくも同意。異性間の婚姻でも戸籍謄本は必要らしいが、どうしてそんな手間をかけることができるのか不思議だ。
ここまで読んでもらったら分かる通り、ぼくらは同性パートナーシップ制度や同性婚の制度を利用するにあたって、ロマンチックな意味合いをそこから読み取ろうとしていない。ただ単に、メリットやデメリットがあるかないかだけで判断しようとしている。ロマンチックに考えられたら、勢いで戸籍謄本などサッと取り寄せられるのかもしれないが、それができないでいる。
おわりに
同性パートナーシップ制度を利用することで、そこにニーズがあることが顕在化されて、さらなる権利の獲得に繋がっていくかもしれない。そういう意味でも、同性パートナーシップ制度の利用は前向きに考えているつもりだ。けれど、手続きのめんどくささから躊躇し続けているのが現状。
制度ができること・あることは良いことだと思うが、制度を利用せずとも男二人で家を借りれるようになったり、緊急連絡先に指定できたり、ちゃんと面会できたりできるようになったらいいのになあと夢想している。