にげにげ日記

うつ病持ちのゲイ

メンタルぼろぼーろ人間が障害年金の申請やってみた【うつ病5年目】

犬が石畳の上で寝転んでいる写真。


昨年末くらいから手続きを進めていた障害年金の申請が終わって、それから3ヶ月ほどが経ち、結果の通知が届いた。なんとか無事、障害年金の受給が決定した。

 

めでたし、めでたし。これであとは悠々自適に暮らしていける……わけではない。障害の等級にもよるけれど、障害者が親元から離れて自活できるほどの金額はなかなかもらえない(具体的な金額が気になるひとは各自で調べてほしい)

 

わたしは現在、無職で、親元で暮らしており、家賃や水道光熱費などは負担していない。それに加えて、生活費を毎月もらって、それをやりくりしながらほそぼそと暮らしていた。障害年金を受給するようになって変わったことは、親から毎月生活費をもらわなくてもよくなったこと。なので、わたしの経済状況はほとんど変わっていない。改善したのは、親の経済状況のほう。

 

福祉がペラッペラでヤバいよ

それじゃあ障害年金の複雑でめんどくさい手続きなんてやらなくてよかったんじゃないの、と思われるかもしれないが、そんなことはないと思う。わたしからすれば、親の機嫌や親との関係性によっては、いつ支給してもらえなくなるかわからないお金よりも、2ヶ月に1度、日本年金機構から支給される障害年金のほうが、ずっと安心して使うことができた。なので、障害年金の申請をやって本当に良かったと、わたしは思っている(それはそれとして、もっと手続きがシンプルになればいいのにとも思う。もっといえば、申請主義ではないかたちで、病気や障害を抱えたひとの生活を”迅速に”保障してくれるような制度になってほしいと思う)

 

かねてより、日本の福祉制度は手薄く、家族や親族など当事者の周りにいるひとに強いられる負担がかなり大きいということが指摘されてきたけれど、病気や障害を抱えて困っている当事者にとっても、現状の福祉制度はやはり問題があると言わざるをえない。生活保護バッシングや社会保障削減なんかやってる場合じゃないよ。福祉がペラッペラでヤバすぎるよ。

 

さて、せっかくなので以下では、障害年金を申請しようと思った経緯や、実際の手続きがどうだったかについて、少し書き留めておきたい。

 

障害年金の申請をしようと思った経緯

わたしがうつ病だと診断されたのは、2021年頃。その頃には障害年金という制度の存在くらいは知っていた。けれど、当時はいまより症状がまだ軽くて、「少し休めばまた就労できるだろう」と思っていたし、障害年金について詳しく知る機会もなかったので、「自分は障害年金を受給できるほどの病状ではない」と、勝手に判断していた。もっと重症じゃないともらえないんだろう、と。

 

というか、受給判定が終わったいまこの時点でさえ、「自分は障害年金を受給できるほどの病状ではない」と、頭の片隅で思っている。思ってしまっている。それほどにバイアス(偏見、思い込み)の影響は強く、ときに判断を誤らせたり、遅らせたりしてしまう。

 

なので、わたしが障害年金について調べたり、友人やソーシャルワーカーに相談してみたり、実際に手続きをやってみようと考えたりできるようになったのは、それから4年ほど経ってからだった。少しずつリサーチを進めていき、手続きをやってみようと思える程度の精神的・体力的な余裕ができたタイミングで、ようやく着手することができた。

 

障害年金の手続きはどうだったか

障害年金の申請手続きは複雑で、めんどくさいとよく言われる。戸籍謄本や診断書を入手したり、年金の未払いがないか年金事務所で確認したり、自分の症状や暮らしの状況を詳しく言語化して書類に記入したりと、とてもじゃないけれど体調が悪い障害者にやらせていいタスクではない(体調が悪いって言ってんだろ!)

 

わたしは最初から自力で手続きを行うのは諦めて、社労士さんに代行してもらった(もちろん報酬はしっかりお支払いした)。契約書のやりとりで近所のポストまで出かけた以外は、家から一切出ずに手続きを終えられたのでとても助かった。しかし、それでも手続きを進める上で混乱することが多々あり、社労士さんに質問していろいろと教えてもらった。

 

社労士などの専門家に頼らず、自力で手続きを終えたひともいると聞く。マジですげー。

 

障害年金の申請をしてみて分からされたこと

障害年金の申請手続きを進めていく中で、「あ、これ大事だな」「もっと早く教えてほしかったな」と思ったポイントがいくつかあったので、挙げてみようと思う。

 

そもそも体調が悪い障害者にあれこれタスクを押し付けてくるな、申請主義をやめろ、などと文句を言いたくなるし、実際に言っていくつもりだが、他方で、こういったハウツー的なことを共有するのも大事かなと思うので、書いてみる。参考までに。

 

ポイント①とにかく記録する

自分の体調や病状、生活の様子、就労状況など、小まめに記録を取っておくのはマジで重要。日記をつけるのでもいいし、メモ帳などのアプリに書き殴るのでもいいし、SNSの鍵垢に投稿しまくるのでもいい(プライバシーには気をつけて!)。とにかく痕跡をあちこちにつけまくっておく。

 

記憶はすぐに風化してしまうし、体調や気分に波があるひとの場合、体調や気分が良い状態のときは、悪い状態のときのことをすっかり忘れてしまう……なんてこともあるのではないだろうか。

 

いざ障害年金の申請手続きに着手したときに、ここ1ヶ月の体調がどうだったか思い出せないと困ったりする。また、遡及申請といって、診断を受けてから現在までにもらえたはずの障害年金を遡って申請する手続きを行う場合、診断を受けた当時の病状や生活の様子、就労状況などを聞かれることになる。そういう意味でも、記録はとっても重要。

 

ポイント②しっかり伝える

通院のときに、診察で、医師から「最近はどうですか?」と聞かれ、「んー……、まあまあですかね……」などと、非常に曖昧な回答をしているひとはいないだろうか。わたしはいつもこうだった。

 

体調が良いわけでもないし、めちゃくちゃ悪いわけでもない。少なくとも通院はできている。先週はどうだったっけ。あれ、思い出せない……。あ、もう診察終わりか。はあ、帰るのだるいな……。

 

障害年金の申請手続きでは、医師に診断書を書いてもらう必要があるのだが、上記のような回答をしていると、医師のほうで病状や生活の様子、就労状況などの情報が正確に把握できず、実態が診断書に反映されなくなってしまう可能性がある。なので、ポイント①で記録した情報を、しっかりと医師に伝えることが重要である。

 

週に3日しかお風呂に入れていない、1日1食しか食べれない、スーパーまで買い物に行く体力がない、気力がなくて1日中横になっているなど、できるだけ具体的に伝えられるとなお良い。

 

ポイント③早めに動く

障害年金の申請手続きは時間がかかる。わたしの場合は9ヶ月近くかかった。なので、なるべく早めに、少しでも余裕のあるときに、情報を集めたり実際に手続きを進めてみたりしてほしい。

 

また、障害年金は、初診日に加入していた年金の種類によって受給額が変わる。この金額差が結構デカい。すでに精神科を受診しているひとは、いまさらどうしようもないが、これから受診する可能性があるひと(つまりすべてのひと)は、早めに初診日を確定させておくことが大事だと、ぜひ覚えておいてほしい。

 

ぐったりしんどい状態になってから病院を探すのは、体力も判断力も落ちてしまうので大変。「あれ、なんか調子悪いかも?」と違和感を覚えるくらいの段階で、早めに病院の予約をしてみるのがおすすめ。

 

おわりに

いろいろとハウツー的なことを書いてしまった。先述のように、「そもそも体調が悪い障害者にあれこれタスクを押し付けてくるな」「申請主義をやめろ」という話なのだが、まあ誰かの参考になれば、と思って書いた。

 

障害年金については、昨今、不支給件数が急増しているとの報道が出ている。

 

nigenige110.hatenablog.jp

 

担当部署の人事異動や方針転換がきっかけだとか、そもそも判定基準に問題があるんじゃないかとか、いろいろ指摘されているけれど、障害者からするとこれは文字通り、死活問題。生殺与奪の権を他人に握られているかのような、恣意的な運用ではなく、しっかりと制度が運用されることを強く望んでいる。