にげにげ日記

にげにげ日記

(元)不登校ゲイの思索

「男らしさ」への焦りと拒絶――『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』を読んで考えたこと

おさむです。

 

今回は、ある本を読んで、「男らしさ」について考えてことを書いてみます。

 

 

男の子はなぜ「男らしく」育つのか 

いま読んでいる本『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』は、レズビアンの著者が、パートナーとの間に養子として引き取った男の子を育てる難しさから出発して、「男らしさ」について様々な観点から考察を深めるような内容になっています。

 

ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか

ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか

 

 

#MeToo の運動があり、性暴力を行った男性が次々と告発されているこの現代で、男の子を育てる難しさを著者は抱えています。#MeToo をはじめ、現代におけるさまざまな問題の根底に「男らしさ」がもたらす影響があるからです。

 

男らしさについて構築された有害な概念が、ジェンダー間の不均等な力関係や、男性から女性への暴力といった犠牲を生んでいることは否定できない。しかし同時に、見落としてはならないのは、そういった男らしさについての考えやふるまいが、男の子たち、男性たちにも非常に大きな害を及ぼしていることである。若い男性たちのあいだで、ステレオタイプどおりのマスキュリニティに則り、支配的でタフな男らしさを体現しようとする傾向は、うつ、薬物乱用、いじめ加害、非行、危険な性行為、性的満足度の低さ、パートナーへの虐待などと関連付けられている。逆に、男らしさのルールに同調しない男たちや、その基準を充分に満たせない、あるいは満たそうとしない男の子たちも、いじめのターゲットになったり、ばかにされたり、排斥されたりというリスクを負う。(pp.322-323)

 

このように害のある「男らしさ」(Toxic Masculinity)を、なぜ男の子たちが身につけ、強化していくのかというと、そのことをまわりの大人たちが期待しているからであり、また、そのことによって、 承認、仲間意識、ステータス、権力といったかたちで利益や特権を得られるからです。

 

当然だが、明らかな不利益しかないなら、そもそも男性たちがこれほど意欲的に伝統的マスキュリニティを受け入れて従っているわけはないのだ。(p.323)

 

ぼくと「男らしさ」

なぜかぼくは、いじめやハラスメントに遭いやすいです。暴力の対象にしがいがあるのか、暴力をふるっても構わない(反抗してこない?)ように判断されてしまうのか、なんなのかよくわかりませんが、本当によく遭います。

 

そうした経験が蓄積されるうちに、自分の「弱さ」に対する軽蔑というか、「もっと強くあらねば」「もっと男らしくあらねば」みたいな観念が湧いてきているかもしれません。はっきりとそう認知しているというよりかは、「そういう可能性あるよな」という程度なのですが。

 

それと関連があるかどうかは不明ですが、ハラスメントに遭った時期に、ぼくは髪の毛をバッサリ切って坊主にしました。ひげも生えて、かなりマスキュリンな(男らしい)見た目になっていると思います。筋トレを始めたのもその頃からだったかもしれません。

 

自分を守るために、「男らしさ」という殻をかぶったのかもしれません。

 

一方で、「男性の弱さは、自分の弱さを見せられないことだ」と誰かが言っていましたが、かぶった殻によって孤立し、殻の中で寂しく死んでしまうような、そういう孤独感みたいなものも感じます。

 

また、「男らしさ」は、「男は強くあるべき」と命じてきますから、その命令を内面化してしまうと、いじめやハラスメントの被害を告発することを困難にしてしまいます。男性でも性暴力の被害者になることはありますが、それを誰かに相談したり告発したりすることが難しいのは、このことが大きく作用しているのではないでしょうか。

 

「男らしさ」を越えて

そもそも「男らしさ」は、その概念が発明された頃からずっと不安がつきまとってきたのだと、この本には書いてあります。

 

つまり、「男らしさ」は確実なものではなくて、そのほかのものとの関連の中にあり(=社会的・文化的なものであり)、常に「自分は男らしいかどうか」「男らしくない振る舞いをしていないかどうか」チェックし続けなければならない、不確実なものだということです。

 

「男らしさ」の殻をかぶったことで、例えば道を歩いていて誰かにぶつかられるようなことはありませんが、この殻はひとを孤独にしていまいます。

 

「有毒なマスキュリニティ」とも表現されるような、この極端なバージョンの男らしさは、まさに破滅的である。そこには、相手を思いやる気持ちや、無防備さ、寛容さは一切ない。(p.323)

 

タフであれ、支配的であれ、頑強であれ、と命じるこの「男らしさ」の殻を外して、弱さや無防備さを見せ、相手を思いやる気持ちをしっかり持つ。そのようにありたい、そのように「男らしさ」の概念を修正していきたいと思いました。

 

それが本当に難しいんですけどね…。

 

「男らしさ」関連記事

「男らしさ」については、こちらの記事でも考えてみています。

 

nigenige110.hatenablog.jp