おさむです。
12月に入ったので、今年読んで良かった本10選をやってみました。
今月もまだ本を読むつもりなので、内容は変動するかもしれませんが、とりあえず暫定版として出してみます。
ちなみに、現時点で、今年読んだ本の冊数は153冊です。このなかから10冊を選びました。
(追記)その後何冊か本を読みましたが、以下でご紹介する「10選」に変動はなかったので、これを【完成版】とします。
- 荒井裕樹『差別されてる自覚はあるか』
- 雨宮処凛『この国の不寛容の果てに』
- ジェローム・ポーレン著、北丸雄二訳『LGBTヒストリーブック』
- 井田真木子『同性愛者たち』
- 大塚隆史『二人で生きる技術』
- はるな檸檬『ダルちゃん』
- 山崎ナオコーラ『ブスの自信の持ち方』
- 杉田俊介『非モテの品格』
- 石戸諭『リスクと生きる、死者と生きる』
- ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
- まとめ
荒井裕樹『差別されてる自覚はあるか』
「青い芝の会」という脳性マヒの障害者による団体で活躍した「横田弘」という人物と、横田弘がつくった「青い芝の会」の行動綱領の思想に迫った本です。
生産性でひとの優劣が決められてしまう現代社会を生きるうえで、ものすごい胆力のある対抗言説を与えてくれていると思います。
雨宮処凛『この国の不寛容の果てに』
- 作者: 雨宮処凛,神戸金史,熊谷晋一郎,岩永直子,杉田俊介,森川すいめい,向谷地生良
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 2019/09/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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生産性といえば、こちらの本も考えさせられました。
相模原の障害者施設殺傷事件を受けて、この社会はどうなってしまっているのかと、著者が複数の有識者と対談をするという本です。
対談だから読みやすく、でも中身はものすごい詰まっています。
詳しい感想はこちらの記事に書いてあるので、よかったらお読みください。
ジェローム・ポーレン著、北丸雄二訳『LGBTヒストリーブック』
LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い
- 作者: ジェローム・ポーレン,北丸雄二
- 出版社/メーカー: サウザンブックス社
- 発売日: 2019/12/21
- メディア: 単行本
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生産性でひとの優劣を決める。その矛先は、障害者だけではなく、LGBTにも向けられました。
この本では、おもにアメリカのLGBTの歴史が描かれています。こちらも記事に感想を書いているので、よかったらお読み下さい。
井田真木子『同性愛者たち』
記憶されるべきLGBTの歴史は、国内にもあります。
90年代の日本で、同性愛者たちが社会と関わり、差別を受けて裁判に立ったり、エイズの問題に取り組んだりする姿を綴ったルポ。
登場人物である青年たちを等身大に描いていて、とても親近感が湧きました。
大塚隆史『二人で生きる技術』
著者は同性愛者ですが、同性愛に限らず、パートナーシップのあれこれについて書かれた本です。
パートナーシップの難しさ、楽しさ。
その体験談と秘訣。
とてもタメになるうえに、重厚な内容で夢中になって読みました。2回は読んだし、2人の友達に勧めました。
はるな檸檬『ダルちゃん』
漫画も読みます。
ダルダル星人のダルちゃんが、ひとに擬態しながらも、擬態しきれずダルダルしてしまうお話。
ぼくも面接を受けたり職場で働いたりするときは「擬態」していたのだなあ、と思いながら読みました。
柔らかい絵柄ながら、鋭いジェンダー的な視点も入っており、読まされました。
山崎ナオコーラ『ブスの自信の持ち方』
「ブス」の社会的位置づけを分析していく筆致が鮮やかで、緻密で、ものすごい迫力なのです。
ひいては、この社会のルッキズムや、日本人の自己肯定感の低さみたいなところにも繋がる一冊だと思います。
杉田俊介『非モテの品格』
女性にとっての「ブス」は、男性にとっての「非モテ」と同格…とは言いすぎでしょうか。
男性の弱さとは、自分の弱さを認められないこと。
ぼくがこちらの記事で書きたかったことの1つです(ちゃんと書けているかビミョーだけど)。
「弱者男性」などという言葉がありますが、男性の生きづらさは女性(の社会進出)のせいではなく、強い男性(と弱い男性や女性もみんな)がつくりあげたヒエラルキーや社会制度のせいなのです。そしてそのヒエラルキーの底でいまもなお差別される女性…という構造に気づけた一冊でした。
自らの弱さを認めて、弱くても生きられる社会を目指したいと思いました。
石戸諭『リスクと生きる、死者と生きる』
東日本大震災の被災者や、その周辺のひとびとへのインタビューがまとめられている一冊。
ただし、それらのインタビューを分かりやすいストーリーに落とし込もうとはせず、複雑なものを複雑なままに、矛盾することを矛盾したままに描こうとする、その真摯な姿勢に「いいなあ」と思いました。
当事者の語りを絶対的なもの=「権力」として描いてしまうことで、さまざまな「揺らぎ」や「個の体験」が削ぎ落とされてしまう。そのことに抗いながら、震災をもう1度見つめ直してみています。
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
福岡出身、イギリス在住の著者が、元・底辺中学校に通う息子を主人公にして綴ったエッセイ。
人種差別や、セクシュアリティ、ジェンダーなどさまざまな問題が、日常のあちらこちらにあって、それに対して息子はどう対応するのか。
子どもは、親だけに育てられるのではなくて(もちろん親の影響力は大きいけれど)、その地域やまわりの大人など、環境によって育てられていくものなのだとハッキリ認識できました。
特に、ぼくも福岡出身なのもあって、著者が息子を連れて帰省したときの話は胸がきつくなるほどしんどくて、涙が漏れました。
しんどい現実に伏したくなるけれど、著者や息子の姿を垣間見て、ちょっぴり勇気をもらいました。
まとめ
今年も良い本にたくさん出会えて幸せです。
思い返せば、大学生になってから本をよく読むようになって、最初はセクシュアリティやジェンダーに関する本ばかりを読んでいたけれど、だんだんと興味の幅が広がっていったのだなあと思います。
それでもまだジェンダーやセクシュアリティについては深い関心があり、よく本を読んだりしていますが。
ここ最近は、「特にこのテーマに興味がある!」ということはなくて、フラットな感じです。いろんな本を読んでみたいと思います。