おさむです。
大学生のときに、セクマイサークルを運営していました。今回はその経験と、ほかの大学のサークルの運営者と語り合ったことをもとに、セクマイサークルの運営の大変さについて書きたいと思います。
セクマイサークルとはなにか
ここでは、主に大学で、LGBTQに関する活動をするサークルを「セクマイサークル」と呼びます。「LGBTサークル」と呼ぶ場合もありますが、ここでは「セクマイサークル」で統一したいと思います。
LGBTQの当事者だけで構成されたサークルもあれば、そうではないひと(シスジェンダーの異性愛者とか)も参加できるサークルもあります。
セクマイサークルは、活動内容によって、大きく2つに分けられます。
- 定期的に集まっておしゃべりしたりご飯を食べたりするなど、「交流」に重きを置いたサークル
- 勉強会や講演会を開くなど、何か目標や方向性を立てて熱心に「活動」するサークル
ハイブリッド型もありますし、1つの大学で「交流」型と「活動」型の2つのサークルが併存していることもあります。
どんなひとが参加しているのか
先に結論をいうと、いろんなひとが参加しています。セクシュアリティもさまざまですし、目的もさまざまです。友達がほしい、恋人がほしい、一緒に活動する仲間がほしい、学内にセクシュアリティに関する話ができる居場所がほしいなどなど。
ただ、理屈を言うと、友達や恋人をつくるには、いまやSNSやアプリを使ったほうが手っ取り早いし、プライバシーも保ちやすいです(学内で活動すれば、バレたりアウティングされたりといった危険性が常につきまといます)。
なので、理屈上では、なんらかの社会的・政治的な活動をしたいひとが比較的多く集まるのがセクマイサークルです。社会的・政治的というのは、「LGBTQに関する知識をもっと広めたい」とか「レインボープライドにみんなで参加したい」とか「LGBTQに関することについて議論したい」とか、内容はさまざまで、広義の意味です。
大変さ①活動の条件を整えるのが難しい
まず大変なのが、活動の条件を整えること。
おそらく最初の難関は、活動場所を見つけることです。学内で、ある程度のプライバシーが守られるような場所。これが本当に難しいです(難しすぎて、学外のファミレスやカフェ、貸し会議室などを活動場所にしているサークルもあります)。
また、メンバーを募集するためにチラシを貼るとしたら、公認サークルに登録しないといけません。登録するためには、顧問の先生を探さないといけません。副代表や会計などをやってくれる学生も探さないといけません。
どれを探すにしても、LGBTQの当事者であることをカミングアウトすることに繋がりうるし、そのリスクを一緒に負ってくれるような仲間がいないことには活動を継続させていくことは難しいです。
このような、活動以前の準備の段階での困難さがあります。
大変さ②後継者探しが難航する
そして、おそらく最も大変なのが、後継者を探すことです。
セクマイサークルの運営ができるひとというのは、限られてきます。特に公認サークルで代表をするとなると、クローゼットの学生は難しいかもしれません。各種書類の手続きをしたり、サークル運営者対象の講習を受けたりする際には、周りの目が気になるということがあるからです。
また、設立者はかなりのやる気・意欲を持ってサークルを始めるわけですから、そのやる気・意欲を引き継げる学生などそうそういません。だから、設立者が卒業すると同時に無くなってしまったり活動が停滞してしまったりするサークルが多いです。
うまく引き継ぎができたとしても、1~2年後にはまた次の後継者を探さないといけません。後継者たり得る人材は、そんなに継続的にうまくやってこないものです…。
セクマイサークルがすぐに潰れたり、また何年後かに新設されたり、そしてまた潰れたりするのは、仕方のないことなのです。
まとめ:それでもやろうよ!セクマイサークル
セクマイサークルの運営の大変さを一言でいうと、「リソース(社会的資源)の少なさ」です。リソースが少ないなかで、活動場所を見つけて、参加者のプライバシーを守り、そして後継者を探していかないといけない。マジで大変だと思います。
それでも、セクマイサークルは楽しいものだと、ぼくは言いたいです。同じ大学にも仲間がいるんだと思うとやっぱり嬉しいし、ほかの大学のサークルと交流会を開催するのも楽しいです。サークルを通して出会って、いまでも交流がある友達は何人もいます。
現在、「LGBTQのこと、なんかやりたい!」という学生の受け皿は、セクマイサークルだけではありません。LGBTQに関することをやっているNPOに参加してもいいし、企業のインターンもあるし、SNSやブログなどで発信することもできます。
そんななかで、セクマイサークルの特色は、「自治」のようなことにあると思います。
学内で活動して、学内で起きたことや学内の動きをみんなで共有して、ときには問題化して、解決のプロセスに自分たちも関与する。ただ共有するだけでも、立派な「自治」だと思います。「自治」がセクマイサークルのすべてだとは言いません(いろんな活動のやり方があることは上述した通りです)が、特色を挙げろと言われれば、やはり「自治」にあると思うのです。
自分たちのことは、自分たちでまず共有したい。セクマイサークルの根底には、このような精神があるのではないでしょうか。