おさむです。
今回は、先日参加したシンポジウム「性暴力をなくすために男性ができること」で登壇者の1人にもらった冊子から、性的同意(セクシュアル・コンセント)について考えてみたいと思います。
レイプされる!
出会い系アプリを使ってひとと出会った経験は数えるほどしかないのですが、たしかその初めてのひとが、笑うときに一瞬だけ白目を剥くひとでした。
ぼくが大学1年生のとき。
それで好きになったわけではないし、若気の至りのような解釈の仕方もありそうですが、とにかくぼくは彼に好意を持っていました。その彼の部屋に招かれて、レイプされそうになったのはいつ頃だったか。「鍵はかけてあるし、やろうと思えばやれるんだよ」と言われて、ぼくは恐怖で身体が固まりました。まさかこんなことになるとは、まったく想像だにしていなくて、ぼくは彼の良心に身を委ねるしかしてなかったと思います。そうすることしかできませんでした。「もう家に帰れないかもしれない」とまで想像して、悲しくなりました。
そして、ぼくのあまりの怯えぶりを見て、彼はレイプを断念しました。その程度の良心はあったということでしょうか。
この件とどれくらい関係があるかわかりませんが、彼は某有名大学の大学院に所属する、いわゆる「エリート」でした。
このときの体験は、ゲイ特有のものというよりかは、誰にでも起こりうることだと思います。加害者にもなり得るし、被害者にもなり得る。
一方で、ゲイコミュニティの閉鎖性や社会からの偏見によって、性に関する正しい情報へアクセスしづらかったり、被害を告発するのが難しかったりという面もあるのかなと思います。
それはまた別の機会に考えるとして、今回は、このような体験を減らすために、性的同意(セクシュアル・コンセント)について触れてみます。
性的同意(セクシュアル・コンセント)とは
先日参加したシンポジウムでもらった、「セクシュアル・コンセント(性的同意)ハンドブック」は、あのときのぼくに手渡したい一冊です。いや、高校生のぼくでもいい。性的同意について学ぶのは、大学生ではやや遅い、中学生か高校生の頃に教わっていいと思います。
ハンドブックによると、性的同意とは、全ての性的な好意において確認されるべき同意のこと。他方で、同意のない性的言動は性暴力となります。
性的同意を取るうえでは、次の3つを押さえておくことが重要です。
- ”NO”と言える環境が整っていること(非強制性)
- 社会的地位や力関係に左右されない対等な関係であること(対等性)
- 1つの行為への同意は他の行為への同意を意味しないこと(非継続性)
ぼくの体験でいうと、相手の部屋にいて「鍵はかけてあるし、やろうと思えばやれるんだよ」と脅されている時点で、1の非強制性も2の対等性も守られていません。また、相手の部屋に行くということは、セックスの同意とイコールではありません。その点も共有されていません(3の非継続性が守られていない)。
このような状況を招かないために、性的同意をしっかり共有していくことが大事なのですね。
第三者にできること
またハンドブックでは、性暴力(になりうる言動)の現場に居合わせた第三者にできることが【3つのD】として提示されています。
- 直接介入する(DIRECT)
- 気を逸らす(DISTRACT)
- 委任する(DELEGATE)
加害者や被害者になり得るひとに声掛けをしたり(1)、コップをわざと落として割るなどして気を逸らせる(2)、自分より適切に対処できるひとに相談する(3)など、第三者にできることはたくさんあるみたい。
また、被害を受けたひとから相談を受けたり、なんとなくその話をされたときは、「あなたにも非があった」「もう忘れたほうがいい」などと被害者を責めてはいけない、と書いてあります。被害を話したことで、さらにおいうちをかけるようにして責められたり非難されたりすることを、セカンドレイプと言います。
おわりに
内容がまとまっていて、読みやすく、すばらしいハンドブックだと思いました。つくってくれた方々には感謝したいです。そして、ぜひたくさんのひとに読んでほしい。
このハンドブックに関する記事がハフィントンポストにあったので、リンクを貼っておきます。
また、LGBTQの性暴力については、こちらのサイトがすばらしいです。