にげにげ日記

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(元)不登校ゲイの思索

2020年の振り返りとまとめ+本と映画10選

年末なので、今年の振り返りをしようと思う。振り返ってみると、いろんなことがあったので、それを大きく3つに分けてまとめておきたい。ついでに、今年読んでよかった本、見てよかった映画・ドラマをそれぞれ10本ずつ選んでまとめようと思う。

 

 

2020年の振り返り①コロナの影響を受けまくった

去年の11月から通い始めた職業訓練だったが、COVID-19の感染拡大によって、非常事態宣言が発令され、そして休校に。卒業延期やオンライン授業などの措置は取られず、カリキュラムをすべてやりきる前に卒業ということに。それに納得がいかなかったぼくは、ひとりでボイコットして、結局、卒業はできなかった。

 

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幸いなことに、COVID-19にはまだ感染していないPCR検査を受けていないので正直よくわかんないけど)が、こういうかたちで大きな影響を受けてしまった。その後の就活にも影響は及んだ。2020年を振り返るとき、きっと誰もがCOVID-19とそれによって被った影響を挙げずにはいられないだろう。

 

2020年の振り返り②彼氏と同棲を始めた

そんななかではあるが、彼氏と同棲を始めた。兼ねてからお互い同棲することを希望していたし、お互い当時住んでいる場所から出たいという気持ちが強まったのもあって、部屋探しを始めた。すると、男同士で部屋を借りることの困難さに直面した。

 

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さまざまな困難があり、半ば諦めかけていたそのとき、LGBTの不動産屋である「iris」の存在をTwitterのフォロワーさんに教えてもらって、相談してみたところ、速攻で部屋が決まった。あまりの速さに拍子抜けした。担当者の方もとてもいいひとで、友だちみたいになった。

 

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同棲を始めて約4ヶ月。軽微な諍いや意見の食い違いなどもあるが、それなりにうまくやっている。COVID-19が落ち着いたら、友だちを呼んでホームパーティなどできたらいいなと思っている。

 

2020年の振り返り③ブログをやっていく上でいろいろ起きた

ブログを始めて1年が経った。あまり長続きするイメージがなかったので、意外な展開だなと思っている。ブログを通して、いろんなひとと知り合うことができたことを嬉しく思っている。

 

本の感想を書いたところ、著者の方に読んでもらえたり、とある著名な活動家の方に「愛読しています」と言っていただいたり、友だちづくりの協力をしてもらったりと、ホントに光栄なことがたくさんあった。ブログを書くのはそれなりに時間や労力がかかることだけれど、続けてよかった。

 

あとは、書いた記事がはてなブックマークに掲載されて、ちょっとだけバズったことも記憶に新しい。こんなこと、きっと今後はもう起きないだろうと思うので、大事な思い出として記憶に留めておきたい。

 

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来年以降も、ほそぼそとブログを続けていけたらと思っている。何かメリットがあるからというよりも、定期的に頭の中にあることを書き出さないと生きていけないような感じがするので。

 

見てよかった映画・ドラマ10選

さて、今年はCOVID-19の影響もあって、劇場で見た映画はほとんどなかった(「パラサイト」「TENET」「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の3つだけ)。それでもアマゾンプライムビデオやNetflixで配信されている映画やドラマを見て、楽しませてもらった。今年見た映画・ドラマのなかから、見てよかったと思える作品を10こ厳選してみた。1つずつ感想を書こうかとも思ったが、あまり長文になるのもアレなので、箇条書きにする。

 

  • パラサイト 
  • タクシー運転手
  • 私はダニエル・ブレイク
  • 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
  • オールドガード 
  • トランスジェンダーとハリウッド
  • ハーフ・オブ・イット
  • ザ・プロム
  • ザ・ボーイズ シーズン2
  • POSE シーズン1

 

なかでも、Netflixオリジナル映画の「オールド・ガード」にはいたく感動して、感想をブログに書いたほどだった。

 

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読んでよかった本10選

同様に、読んでよかった本を10こ厳選してみたので、こちらも箇条書きにする。今年もすばらしい本をたくさん読むことができてホントに幸せだった。いくつか感想をブログに書いているので、そちらも合わせて読んでもらえると幸い。

 

  • 白井聡『武器としての「資本論」』
  • イ・ミンギョン『私たちには言葉が必要だ——フェミニストは黙らない』
  • 太田啓子『これからの男の子たちへ——「男らしさ」から自由になるためのレッスン』
  • 綾屋紗月・熊谷晋一郎『発達障害当事者研究——ゆっくりていねいにつながりたい』
  • チョ・ナムジュ『彼女の名前は』
  • 磯野真穂『ダイエット幻想——やせること、愛されること』
  • 山崎ナオコーラ『美しい距離』
  • 山崎ナオコーラ『反人生』
  • 千葉雅也『デッドライン』
  • ハ・ワン『あやうく一生懸命生きるところだった』

 

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おわりに

大変な1年だった。「だった」と過去形で書いてしまったが、きっと今後も大変だろう。しばらくきつい時代が続くだろうと思う。政府のやることをしっかり注視しつつ、批判すべきことは批判しつつ、そうして暮らしを営んでいきたい。本や映画もたくさん楽しみたい。

 

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「同性カップルが長続きしないのは、やっぱり社会のせいだ」と思った話

今年の年末も田舎には帰らないつもりだ。もう何年も帰省していない。今年については「コロナがあるから」と言い訳ができるが、それ以前から何年も地元に足を踏み入れていないのだから、年末に帰省しない理由は別にある。両親との不仲だ。両親には高校生のときにカミングアウトをしたが、幼少期からのいろいろな積み重ねがあって、次第に関係が壊れていった。

 

ゲイであることを、普段はオープンにして暮らしているから、いまさら親族とどう接すればいいかもよく分からない。なのでもう家族や親族とは誰とも連絡を取っていない——妹を除いては。

 

妹とボクと、時々、家族・親族

母方の祖父母は今年、何度か入退院を繰り返しているようで、認知症や糖尿病が徐々に悪化してきていると、妹から聞いている。こういう話はすべて、妹と電話でお互いに近況報告をし合っているときにポロッと聞く。妹とは最低でも月に1回は電話をしている。昔は仲が悪かったが、高校生くらいから関係が改善し、いまでは頼り合える関係を築けていると思う。そのことは、本当に嬉しい。

 

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祖父母には愛着があるし、会いたいと思わなくもないが、帰省すると何が起きるか、いろんなことを想像して、わずらわしいなと思い、やはり今年も断念する。後ろめたさや罪悪感は特に感じない。こういう人生を選択したのだ、と思っている。あるいは、生まれたときからこういう人生が運命づけられていたのだ、と。

 

今年の頭に、同い年のいとこの結婚式が執り行われた。妹から電話口でその話を聞いて、「来る?」と尋ねられたが、断った。後日、結婚式の席で、妹が「次はあなたの番ね」「いや、うちのはまだ先でしょう」などとひどいハラスメントを受けたことを聞かされた。行かなくてよかった、と思った。ぼくには帰る地元がないのだ、と思っているところがある。

 

血縁や地縁からパージされた同性カップルの暮らし

25歳になって、人生で初めて親元を離れて暮らしている。彼氏との同棲だ。それが始まってから、もう4ヶ月ほどが経った。彼氏もまた、実家とある程度の距離を置きたいみたいで、ぼくらはお互いに血縁や地縁から切り離されて生きているんだな、と実感する。少なくとも、ぼくらはお互いの家族に紹介し合うみたいなことはできていない。こんな状態で、もしもどちらかが病気や事故で入院したとき、そばにいられるのだろうか。それ以前に、そもそも緊急時に連絡をもらえるのだろうかと心配になる *1。考えてみれば、ほかにもいろいろと心配なことはあって、ときどき頭を抱える。

 

先日、とある友人カップルが大ゲンカをした。友人は、実家に帰ってしばらく考えた末、パートナーのもとに戻り、仲直りをした。彼らは異性愛カップルで、家族ぐるみの付き合いをしており、職場の同僚にさえもお互いのことを紹介していた。異性カップルでもこんなことは珍しいだろう。友人は、大ゲンカの原因を家族に話し、パートナーの職場の同僚に相談し、そうして納得して仲直りをしたようだった。

 

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その話を聞いて、カルチャー・ギャップというか、異性カップルはこんなにも環境に恵まれているのか、と愕然とした。パートナーとケンカをしたときに、事情を説明して実家に泊まらせてもらうことができて、相談に乗ってくれて、まあまあとなだめてくれるひともいて、仲を取り持ってくれるひともいる。血縁や地縁などのコミュニティやネットワークに接続することで得られるこれらの利益を享受できることが心底羨ましいと思った。

 

同性カップルが長続きしないのは、やっぱり社会のせいだ

もちろん異性カップルでも、血縁や地縁などのコミュニティやネットワークから離れ、孤立しているカップルは少なくないだろう。また、異性愛者じゃなくても、血縁や地縁の関係性に埋め込まれて暮らしているひともいる。それから、血縁や地縁などに埋め込まれることは、メリットばかりじゃないはずだ。田舎出身なので、それは多少分かる。

 

だけれど、それはさておき、同性カップルが長続きしないと言われる背景には、血縁や地縁だけに限らず、様々なコミュニティやネットワークに埋め込まれず、孤立してしまいやすくて、それで問題を2人だけで抱え込み、処理しきれないまま離散してしまうことがあるとは考えられないだろうか。ほかにもいろいろな要因はあるだろうが、ぼくはこの仮説にかなり納得している。

 

www.newnownext.com

 

(とはいえ、この記事に書かれている調査によると、異性愛カップルより男性同士のカップルのほうが長続きするという結果が出たらしくて、実は「同性カップルは長続きしない」というのも眉唾である。欧米での調査だから、アジアでは話が異なるかもしれないけど)

 

同性カップルの関係性について、「結婚や子育てなどのゴールがあれば、長続きするようになると思う」と言われているのを聞いたこともあるが、たぶん、重要なのは"ゴールがあること"ではない。そうじゃなくて、結婚や子育てを通して血縁や地縁を始めとしたコミュニティやネットワークを結び直したり、新たに築いていくことができる、ということが肝なのではないか。

 

個人単位での社会保障が必要

ここまで書いてきたことは、同性カップルだけの問題ではない。ひとりひとりに関わる問題のはず。シスジェンダーヘテロセクシュアル以外の性的マイノリティが、社会のコミュニティやネットワークからパージされてしまう。湯浅誠が言うような、「3つの溜め」がなくなって、貧困に陥ってしまう*2

 

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むろん、マイノリティであることを活かして社会生活を送ることができるとか、これまで書いてきたような損失を上回るほどの<コミュ力>や魅力などの能力を持っていて社会で活躍しているとか、そういうひとも世の中にはいるけれど、そうじゃないひとだっている。たくさんいる。

 

このようなことについては、また別の記事で改めて書きたい。

 

友だちづくりを目標に

そういうことで、とりあえず彼氏とはお互いに友だちづくりを目標に掲げてみている。ロングスパンでの目標だ。血縁や地縁以外にも、コミュニティやネットワークを築くことはできるんじゃないかと期待している。ル・ポールも言っていたが、ぼくらは家族を選んでいかなくてはならない。

 

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いい出会いがあればいいなと思う。ステキな友だちができて、そのうちお互いに紹介できたらいい。そうしてネットワークが育っていったらもっといい。もちろんネットワークにはならなくても、お互いに紹介しなくても、大事な友だちがそれぞれにいれば、それはとてもいいことだと思う。そこらへんのすべては偶然性や誤配に身を委ねるしかないだろうが、この目標は掲げ続けたい。

*1:いちおう、緊急連絡カードみたいなのは持っているが。

*2:中高生が、親にカミングアウトをして、家から追い出されるということだってあるわけだし。

25歳の老後みたいな生活

まだ彼氏と同棲する前のこと。「週末は何しているの?」と聞かれると、5時頃に起きて、ふたりで近所の公園まで行って、散歩している犬を眺めたりお茶をしたりして、それから家でご飯を作ったりお菓子を食べたり映画を見たり読書したりして、22時頃には寝ているよ、と答えていた。そうすると、決まって「老後みたいだね」と言われた。

 

ぼくはかなりインドアなほうなので、旅行に行ったりアミューズメント施設で遊んだりクラブで踊ったり飲み屋で夜遅くまで飲んだりみたいなことはそんなにしたいと思わない(友達や恋人と一緒だったらそういうこともたまにはしてみたいとは思うけど)。本と映画と音楽と、それからこうやって思っていることを書けるメディアがあれば充分。セックスもそんなに必要ない。

 

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ここ最近、3時や4時に目が覚める。もうちょっと寝てもいいかな、とは思うが、二度寝したら起きるのがつらいだろうと判断して、いっそ活動を始めてしまう。読書をしたり、Netflixでドラマを見たり、朝ご飯を作ったりしている。そうして20時とか21時には眠くなって、コロッと寝る。なんと健康的な生活か、とぼくは思うのだけれど、老後みたいな生活だと思われたとしても仕方がないとも思う。田舎の祖父母は、いつもこれくらいの時間に起きて田んぼの手入れをしていたっけ。

 

見た目も相まってか、たまに「老成している」と言われることがあるが、ただ単に体力や気力がないだけだろうと思う。「老成」という言葉が持つ「成熟」的な意味合いは、ぼくにはない。ただ単に老いているように見えるだけだ。その証拠に、いまだに人間関係や自分がどう見られているかってことで散々悩んだり落ち込んだりしている。子どもの頃は、25歳ってもうずいぶん大人だと思っていたけれど、実際にその年齢になってみると、まだぜんぜん子どもだと思う。このギャップがときどき気に障って仕方がない。

 

 

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まだ年齢が若いほうだから、「まだ何でもできるね」「可能性に満ちているね」みたいなことを言われることがある。実際にそうなのかもしれないが、でも、それすらもプレッシャーに感じてしんどくなるときがある。期待されたくない。言っている本人にとっては他人事だし、別に大した意味もなく、雑談として言っているだけなのだろうけれど、そういう言葉が降り積もってますますしんどくなっていくような気がしてしまってしょうがない。

 

はやく中年になりたい。「このひとはもうこういう生き方しかできないのだから、とやかく言っても仕方がない」みたいな諦めをされたい。期待ではなく、諦め。そうして「あんたってホントしょうがないよね」みたいに諦め合う・罵り合う仲間がほしい。

既存の<物語>に反駁する——山崎ナオコーラの作品を集中的に読んでみた

山崎ナオコーラという作家については、『ひとのセックスを笑うな』という小説で有名かなと思うが、ぼくは『ブスの自信の持ち方』という本でこのひとの存在を知った。強烈なタイトルに惹かれて、読んでみると、ものすごい文章に出会った、という感じがして、いまでは好きな作家のひとりだ。

 

ブスの自信の持ち方

ブスの自信の持ち方

 

 

山崎ナオコーラ作品とのその後

その後、『偽姉妹』という小説を読んだり、Session-22というラジオに出演されているのを聞いたり、『反人生』という小説で友人と読書会をしたりして、楽しんでいたのだが、ここらで山崎ナオコーラの作品を集中的に読んでみるのもいいんじゃないだろうか、と思い、今月はたくさん読んでいる。

 

いまのところ、先出の『ひとのセックスは笑うな』と、『美しい距離』『この世は2人組では出来上がらない』という小説と、『男友だちを作ろう』というエッセイを読んだ。小説を読むと、山崎ナオコーラという人物は、繊細で気苦労が多く、バウンダリーがはっきりしたひとなのかなと想像していたが、エッセイを読んでみると、悩める感じや、会話の中で折れたり折れなかったり、インタビュー相手にグイッと踏み込んでみたり踏み込まなかったりという感じがおもしろくて、より好きになった。

 

男友だちを作ろう

男友だちを作ろう

 

 

既存の物語を反駁する

先日は、また友人と読書会をやって、課題本は『美しい距離』という小説を選んだ。末期がんと診断された妻がいる夫が主人公で、妻のまわりのひとびととの関わりや心理の描写が緻密だった。「余命◯日の××」みたいな、限られた時間を懸命に生きる感動ストーリーみたいな描き方を避けて、というか、物語として描くこと自体を避けようとしている(でもそれが究極的には不可能であることを自覚している)姿勢が印象的だった。

 

物語それ自体を拒否しようとして、試行錯誤した末に、その不可能性に気付いたり自己批判的になるのが『反人生』という小説の主人公だとすれば、『美しい距離』の主人公は『反人生』での議論を踏まえた上で、既存の物語を反駁し、安易な物語に回収されていくことを拒絶し、妻の物語や自分の物語を守ろうとする。そんな風に読めた。

 

美しい距離 (文春文庫)

美しい距離 (文春文庫)

 

 

小説かエッセイか 

すべてがそうだというつもりがないが、山崎ナオコーラの小説は、エッセイや論説っぽいところがあるように思う。『偽姉妹』『美しい距離』『この世は二人組では出来上がらない』あたりは、特にそう思った。物語を拒絶する物語を書く、そのやり方自体へのメタ的な自己批判があるような気がする。文学好きなひとは抵抗感を覚えるかもしれないが、エッセイや論説みたいなのを読むほうが多いぼくからすると、むしろ読みやすくていい。

 

そのことについては、山崎ナオコーラも自覚しているようで、『美しい距離』のインタビューではこんな風に語っている。

 

山崎ナオコーラ氏: よく、「小説を書くということは、小説のうねりに身を任せることだ」というようなことが言われるのですが、それは他の人の仕事であって、私としては小説のうねりに身を任せるよりも、最初に文章ありきの小説が書きたいと思っていました。そしてそれとは逆に、「小説の文章を書く上では、エッセイのような身振りや主張は極力排した方がいい」というようなこともよく言われるのですが、細かいところに力を入れてこそ私の仕事だというのが段々自覚できてきて。

これまでも自分の作品が批判を呼ぶことはあったのですが、それは細かいところを頑張るという部分で吹っ切れていなかったせいだと思うようになりました。だからこれまでよりも一層、細かい描写に力を入れて、たとえエッセイっぽい文章だと言われても、「かっこいい文章になれば、それでいいじゃん」と思って書きました。無駄を排除していて、気取っていない、親切な文章が書ければと。

 

pdmagazine.jp

 

この姿勢がカッコ良い。今後も作品を読み続けたいと思う。

 

余談:「桃踏 2020年秋号」を読んだ

そういえば、先日、ゲイの読書サークルが母体となった「桃踏社」というサークルが出したアンソロジー「桃踏 2020年秋号」を読んだ。11月末に行われた文学フリマで販売されたものだ。

 

 

山崎ナオコーラがいうような「小説のうねり」を感じるような作品もあれば、山崎ナオコーラ的なというか、細部にこだわって書いて物語性をちょっと排してあるようなものもあって、非常におもしろかった。題材のチョイスや描き方などバラエティ豊かで、どれも凝っていて、誌面がパリコレだった。

 

『男友だちを作ろう』で山崎ナオコーラも言っていたが、ぼくもいろんなひとと一緒に本をつくるという作業をやってみたい。同人誌、アンソロジー、ZINEなど、形式はさまざまあるが、本をつくってみたい。そんなことを考えた。

 

美しい距離 (文春文庫)

プチバズり報告と、今後について

前回の記事がちょっとバズった。

 

ブログを始めて1年ちょっとになるが、こんなことは初めてだった。なので、今回は、そのご報告と、今後について書きたい。

 

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プチバズり前夜

正直、この記事がどうしてこんなにバズったのか、理解できていない。

 

もちろんSNSで拡散されたり、後述するように「はてブ砲」「スマニュー砲」と呼ばれる、大きなメディアに掲載されたことによる流入の増加だったりという、仕組みとして「どうやってバズったか」は分かる。しかし、この記事に書いたことそれ自体にバズる理由があったのか、いまいちよく分かっていない。大事なトピックではあるが、これといって目新しい視座を提示できたわけでもないし、もっと上手に書けるひとはいくらでもいるだろうし。

 

この記事は、いつも通り、思ったことを書き殴るようにして書いた。

 

Ace weekという、アセクシュアルの認知度向上のための活動に参加して、そこで考えたことや得られた知見と、これまでの問題意識やLGBTQの表象についての話を関連させて書いた。Ace weekが10月の下旬に行われたので、それから1ヶ月くらいかけて、下書きを手直したり、一度すべて削除したり、そうやってできたのが先の記事だった。

 

こうやって書きながら改めて考えているが、やっぱりどうしてバズったのか分からない。表象の問題と絡めて書いたのが良かったのだろうか。分からない。たまたまだろうか。

 

はてブ砲」でアクセス数が倍に

プチバズりの経緯を説明したい。

 

まず、いつものようにブログを更新した旨をツイートした。すると、それが意外と拡散された。ぼくのTwitterアカウントのフォロワーは100人程度なので、発信力はかなり低い。しかし、フォロワーの多い、いわゆるインフルエンサー的なひとたちにリツイートなどしてもらって、バーっと拡散されていった。

 

この時点で、かなりアクセス数が上がっていて、びっくりした。これまでで一番くらいのアクセス数だった。しかし、翌日には、その倍のアクセス数になった。なにが起きたかというと、「はてなブックマーク」というメディアの新着欄に掲載されたのだ。

 

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はてなブックマークとは、要するに、数多くブックマークされたニュース記事やブログの記事を掲載するメディアのことらしい。短時間で一気にブックマークされると、この「新着欄」に掲載されるようで、そこからさらにいろんなひとが見て、ブックマークされて……という風にして、いまでは22件のブックマークがされている。こうしてアクセス数が倍になった。

 

この記事に対する意見や批判なども複数いただいて、嬉しかった。とても大事なトピックだと思うので、いろんなひとに読んでもらえて、ちょっとでも考えるきっかけになったのであれば幸いだ。

 

「スマニュー砲」の衝撃

それからアクセス数が落ち着いていくかと思いきや、またもやアクセス数が伸びた。今度はなんだろうと思って見てみたら、スマートニュースからの流入が増えてきている。え、なぜ?! あのスマートニュース?! と驚いた。調べてみると、スマートニュースのカテゴリーに「はてな」といって、ホットなはてなブログの記事を掲載するページがあって、そこに掲載されていた。

 

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まさか、自分が書いた記事がスマートニュースに載ることになるとは、思いもしなかった。

 

このように、はてなブックマークに掲載されることでアクセス数が増えることを「はてブ砲」、スマートニュースの「はてな」ページに掲載されることでアクセス数が増えることを「スマニュー砲」というらしい。ちなみに、今回は、「スマニュー砲」よりも「はてブ砲」のほうが4倍くらい影響があった。

 

今後について

繰り返しになってしまうが、前回の記事に書いたようなことはとても大事なトピックだと思うので、たくさんのひとに読んでもらえたり、ちょっとでもこのトピックについて考えるきっかけを提供できたりしたのであれば、ものすごく嬉しいことだと思う。

 

同時に、責任も感じている。このトピックについて、ブログを書いてプチバズりしてはい終わり、じゃなくて、なにか具体的な活動に繋げていくことも大事なんじゃないか、と。まだほとんど考えられていないが、今後検討していきたいと思っている。

 

そして、これからもまた自分なりに考えて、調べて、また考えて、そうやってブログを書いていけたらと思っている。今後ともよろしくお願いします。

 

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